一般社団法人でのクリニックの開設

近頃、一般社団法人によるクリニック開設につき、ご相談がかなり増えてきています。

弊所では、東京23区を中心とした首都圏での開設を主に承っておりましたが、大阪市や京都、兵庫の西の方からのご相談が増えてきました。

もともとクリニックを開設されていらっしゃる医師の先生から「医療法人化を検討していたが、一般社団法人での開設が可能であればそちらで進めたい。」というご相談がやや多いものの、それ以外にも医療機器の開発をされている方や薬剤師の方等非医師の方が「自ら代表者(代表理事)となって診療所の運営をできること知らなかったが、できるのならば」という理由からご相談をいただくケースも徐々に増えてまいりました。

ただ、その一般社団法人を選択する中でご注意いただきたいことがいくつかありますので、何回かに分けて記事していきたいと思います。


今回は、診療所を開設することを前提とした一般社団法人役員構成について。

まず一般社団法人と一口にいえど、運営主体となり得るのは『非営利型一般社団法人』となります。

一般社団法人は誰でも人を集め、定款を作成し、公証役場にて認証を行い、登記申請をすれば設立することができます。
ただ、診療所を開設できるのは『非営利型一般社団法人』です。
非営利型一般社団法人の要件は以下の通りです。

1.剰余金の分配を行わないことが定款に定められている。
2.残余財産を国・地方公共団体や一定の公益的団体に贈与することが定款に定められている。
3.上記1,2の定款の定めに違反する行為を行うことを決定、行ったことがないこと。
4.各理事について、理事とその理事の親族等である理事の合計数が、総数の3分の1以下であること。

意外と難しいのが4かと思います。
この「親族等」には

1.配偶者・3親等内の親族
2.婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者
3.使用人
4.2,3以外の者であって、当該理事から受け取る金銭その他の財産によって生計を維持している者
5.2,3の配偶者
6.2〜4までに掲げる者以外の者の3親等内の親族であって、これらの者と生活を一にする者

 が含まれていますので
ミニマムに構成するなら、上記6つの条件に該当しない方で役員になっていただける方をご自身以外で理事2名監事1名の計3名集めることが必要となります。

お一人「親族等」に該当される方を理事に入れたい、となった場合には「親族等」に該当する理事2名+その他親族等に該当しない理事4名、監事1名の計5名にお声がけが必要となってきます。

ミニマムに構成するのか、7名という少し大きな役員構成とするのか、法人成りへと至った経緯や、どういう道筋を立てているのかにより、変化してくるかと思いますが、この点は十分考慮してご検討いただきたいと思います。

次回は、管理者(院長先生)は理事になるべきか、について記事にしたいと思います。

行政書士 森晶子

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA