徐々に暖かくなってきました。
新型コロナウイルス感染症が猛威を奮い始めてあっという間に2年が過ぎようとしています。
それでもまだ、変異株の出現等により収束の見通しは立ちません。
そんな中、PCR検査の需要は増え続け、「以前は衛生検査所へ検体を送っていたが、診療所内の一室を検査室に変更しそこで検体検査を行いたい」という相談いただきます。
今回は、『検体検査を院内で行うには』について簡単にご説明します。
院内検査室を設置するには?
今回は、診療所内の一室を検体検査室に変更(部屋の用途変更)を想定します。
行政手続としては、すでに診療所を開設しているのであれば、
(医療法人が運営母体の場合)診療所許可事項中一部変更許可申請
(個人診療所の場合)届出事項変更届
が必要となります。
変更するにあたっての要件としては
診療所における検体検査についても医療法15条の2→厚労省令9条の7〜で規定されています。
衛生検査所に比べると緩やかに要件が定められています。
(衛生検査所の登録については4月に記事にしたいと思います、弊所は衛生検査所の登録も承っております。お希望の方はご相談ください。)
PCR検査となると「遺伝子関連・染色体検査」に該当することとなるので、少し要件が厳しくなります。
以下要件をまとめたものです。
・検体検査の精度確保にかかる責任者(医師・臨床検査技師)を設置する
▷精度管理者の義務
①内部精度管理の実施
②外部精度管理調査の実施(年1)
③院内研修の実施・遺伝子関連・染色体検査の精度確保にかかる責任者(医師・臨床検査技師等)を設置する
▷検体検査の業務に3年以上の実務経験及び3年以上の精度管理実務経験を有する者であることが望ましい(両方を満たしていることが望ましいということです)・各種標準作業書の作成
・各種作業日誌・台帳の作成
注意点
診療所で検体検査を行う上で注意しなければならないことがあります。
1.非営利性の確保
2.業として反復継続して行わないこと
3.病院、診療所本来の検体検査業務に支障を生じさせてはならないこと
4.再委託の禁止
5.受託を主な目的として、検体検査に必要な機材を設置、使用してはならないこと
参照:厚労省通知「病院又は診療所間において検体検査の業務を委託及び受託する場合の留意点について」https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/000911179.pdf
一番気を付けなければならないのが他院(同じ医療法人の診療所であっても)
法令の建付上、他の診療所から検体を持ち込み検査を行うことを目的に構造変更をすることはできない、ということです。
あくまでも診療所にいらっしゃる患者様に対し、検査を行うために検体検査室を設置する、というイメージです。
また、同じ医療法人の別診療所の検体を持ち込み検査する場合には1.の非営利性に関して問題にはなりませんが、運営母体の違う診療所の検体検査を受託する場合には、非営利性の確保の関係でかなり注意が必要です。
以上、診療所で検体検査を行う場合の大まかな要件や注意事項でした。
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