医療法人の機関として社員総会・評議員会・理事会があります。
これらを開催したときには必ず議事録を作成しなければなりません。
では、その議事録にはどんなことが書かれていなければならないのでしょうか。
議事録の記載事項は平成28年9月1日に施行された改正医療法に示されております。
ここでは、数が圧倒的に多い医療法人社団が作成することになる「社員総会議事録」と「理事会議事録」の議事録記載事項についてその内容を見ていきます。
1. 社員総会の議事録(医療法施行規則第31条の3の2)
(1) | 社員総会が開催された日時および場所 |
(2) | 社員総会の議事の経過の要領およびその結果 |
(3) | 決議を有する事項について利害関係を有する社員があるときは、その社員の氏名 |
(4) | |
① 監事の選任、解任、辞任についての監事の意見 | |
② 監事を辞任したものの辞任した旨およびその理由 | |
③ 監査の結果、不正の行為・法令・定款・寄附行為に違反する重大な事実があることを発見したときの報告 | |
④ 理事が社員総会に提出しようとする議案等が法令・定款に違反、または著しく不当な事項があると認めるときの監事による調査結果報告 | |
⑤ 監事の報酬等についての監事の意見 | |
(5) | 社員総会に出席した理事・監事の氏名 |
(6) | 社員総会の議長の氏名 |
(7) | 議事録作成にかかる職務を行った者の氏名 |
2. 理事会の議事録(医療法施行規則第31条の5の4)
(1) | 理事会が開催された日時および場所 | |
(2) | 理事会が次に掲げるいずれかのもに該当するときはその旨 | |
① 招集権者以外の理事による招集権者に対する理事会の収集請求による理事の請求を受けて招集されたもの | ||
② 前項の請求があった日から5日以内に、その請求があった日から2週間以内の日を理事会の日とする理事会の招集の通知が発せられない場合に、その請求をした理事が招集したもの | ||
③ 医療法人の監査の結果、業務または財産に関し不正の行為・法令・定款・寄附行為に違反する重大な事実があることを発見した場合に監事の請求を受けて招集されたもの | ||
④ 前項の請求があった日から5日以内に、その請求があった日から2週間以内の日を理事会の日とする理事会の招集の通知が発せられない場合に、その請求を監事が招集したもの | ||
(3) | 議事の経過の要領およびその結果 | |
(4) | 決議を要する事項について特別の利害関係を有する理事があるときは、当該理事の氏名 | |
(5)意見または発言の内容の概略 | ||
① 下記に掲げる競業および利益相反取引をした理事が、当該取引に係る重要な事実についての報告 | ||
a.自己または第三者のためにする医療法人の事業の部類に属する取引 | ||
b. 自己または第三者のためにする医療法人との取引 | ||
c. 医療法人が当該理事の債務を保証することその他当該理事以外との間における医療法人と当該理事との利益が相反する取引 | ||
② 監査の結果、不正の行為・法令・定款・寄附行為に違反する重大な事実があることを発見したときの報告 | ||
③ 監事が理事会に出席し、必要であると認めた上で述べた意見 | ||
④ 理事が社員総会に提出しようとする議案等が法令・定款に違反、または著しく不当な事項があると認めるときの監事による調査結果報告 | ||
⑤ 監事の報酬等についての監事の意見 | ||
(6) | 定款または寄附行為で議事録署名人を理事長とする旨の定めがあるときは、理事長以外の者であって、出席した者の氏名 | |
(7) | 議長の氏名 | |
(8) | 次の各号に掲げる場合には、議事録は当該各号に定める事項を内容とする | |
① 理事からの提案議案について、理事全員が書面または電磁的記録によって同意の意思表示をしたときは、当該提案を可決する旨の理事会があった旨、定款または寄附行為で定めている場合において、理事会の決議があったものとみなされた場合 | ||
a. 理事会の決議あったものとみなされた事項の内容 | ||
b. 上記aの事項の提案をした理事の氏名 | ||
c. 理事会の決議があったものとみなされた日 | ||
d. 議事録の作成にかかる職務を行なった理事の氏名 | ||
② 理事が理事全員に対して理事会に報告すべき事項を通知し、当該事項を理事会へ報告することを要しないものとした場合 | ||
a. 理事会への報告を要しないものとされた事項の内容 | ||
b. 理事会への報告を要しないものとされた日 | ||
c. 議事録の作成にかかる職務を行なった理事の氏名 |
社員総会、理事会それぞれ開催毎に、これら法令で定められている記載事項を記した議事録をとり、主たる事務所では10年間、従たる事務所では写しを5年間、備え置く必要があります。
たかが議事録かもしれませんが、医療法人を運営している以上、これらを適切に作成・保管していることが大前提となります。